日本の糖鎖科学はこれまで糖鎖の構造解析や糖鎖遺伝子の研究で国際的にリードする成果を挙げてきたものの、最近そのプレゼンスに陰りが見えてきているように思えます。昨今の“重要な科学”に研究費が集中する風潮が、これまでの日本の伝統であった、独創的なサイエンスの展開を阻んでいる部分もあるかもしれません。一方で、令和の時代を迎え、AMED-CRESTでは糖鎖科学も重要な一側面となる”プロテオスタシスの理解と革新的医療の創出“がスタートし、また昨年度より東海大学機構を中心とした糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点がスタートしました。まさに糖鎖科学研究に追い風が吹いている、と言えると思います。
日本の糖鎖科学は、現在でも研究者人口という意味では、まだ世界に決して引けを取らないと思われます。追い風が吹く今こそ、ユニークなサイエンスを各研究者が覚悟を持って推進するべきではないでしょうか?
2003年に我が国の糖鎖科学のさらなる発展を目指し、各省庁の枠組みを超えた情報交換を目指した糖鎖科学コンソーシアムシンポジウムが東京で開催されて以来、今年で丁度 20回目のシンポジウムの開催の節目を迎えたことになります。日本の糖鎖科学に”新たな伝統”をもたらし、将来へ進むべき方向を模索すべく、本シンポジウムは“糖鎖科学の可能性-真のブレークスルーを目指して-”というタイトルで、新進気鋭の研究者に最新の知見のご講演をいただく他、企業からのホットな話題も提供いただく予定です。
|